橋本病と私

4.病の正体と小さな一歩(体の治療)

主治医との出会いは、私にとって大きな転機でした。

心の奥底に潜んでいた不調が『抑うつ状態』と知らされた瞬間、それまでの漠然とした不安に、ようやく形を与えられた感覚です。


そして、この診察で、私の病気の根本的な原因が「橋本病(慢性甲状腺炎)」であると告げられました。

主治医からの、明確な説明でした。


橋本病は、自己免疫疾患なのだそうです。

本来体を守るべき免疫が、誤って自分の甲状腺というホルモンを作る臓器を攻撃し、炎症を起こしてしまう病。

この炎症が長く続くと、甲状腺の機能が徐々に低下し、体がだるい、むくむ、意欲が出ないといった『甲状腺機能低下症』という状態になるのです。

つまり、橋本病は甲状腺機能低下症の主な原因の一つ。

私の抱えていた様々な不調は、この進行によるものだと知りました。


病名を知ることは、恐ろしさでもあり、同時に、これからどう向き合うべきかという、新たな扉を開いたようでもありました。


治療は、まず甲状腺ホルモン薬の服用から。

主治医は、「チラーヂンS」を処方してくださいました。

これは、低下した甲状腺の機能を補う、甲状腺ホルモンそのものです。

甲状腺機能低下症の症状を改善するために、体内で不足しているホルモンを補う役割があります。

飲み始めれば、一生続く。

そう聞いた時、やはり心の中には複雑な感情が渦巻いたのです。


毎日の生活に、新たに薬を飲む習慣が加わります。

それが未来永劫続くという事実。

薬に頼る生き方への、漠然とした不安がよぎりました。

常に自分の力で、物事をきちんと整えていたい。そう願ってきた私にとって、自分の体が「完璧ではない」こと、外部の助けが必要なことへの抵抗も、少なからず感じていました。


橋本病という病名を知り、チラーヂンSの服用を開始。

体調回復へ向けた、小さな一歩が始まった瞬間でした。

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