橋本病と私

1.緩やかな異変、やがて見えない理由へ

2025年7月21日

あの日々を振り返ると、まるで心の平穏が、少しずつ、でも確実に失われていくようでした。

2022年の7月。

当時お付き合いしていた彼(今の夫)との関係に、なぜか波風が立つようになりました。

些細なことが気になり、全てが私を攻撃しているかのように感じてしまうのです。

本当は争いたくないのに、素直になれない自分がそこにいました。

大切な彼を困らせてしまうような、支離滅裂な言葉ばかりが口をついて出てしまう。

まるで、自分ではないような感覚でした。


心だけではなく、体も悲鳴を上げていました。

車で片道50分の通勤が難しい。

途中でフラフラと危険を感じて、車を停めてしまうこともありました。

仕事に行けない。

家にも帰れない。

そんな毎日が、私をパニックの渦に突き落としていたのです。


夜は眠れず、昼間はだるくて。

鏡を見れば疲れた顔がそこにあるばかりでした。

食欲はなくて食は進まないはずなのに、なぜか体重ばかりが増えていくのです。

「これは、早めにきた更年期なの?」

「それとも、ただ私が怠けているだけ?」

「努力が足りないから、こんなにもつらいの?」

そんな言葉ばかりが頭の中を巡り、自分自身への自信を失っていく日々でした。


ある日の明け方、激しい胃痛で飛び起きました。

のたうち回るような痛みに耐え、朝一番で近所の内科へ駆け込みました。

レントゲンを撮り、先生は胃カメラを提案してくださいました。

その時、先生の目が私の首元に留まったのです。

「甲状腺が少し腫れていますね。念のため、血液検査もしてみましょう。」


この言葉が、私にとっての大きな転機となりました。

予期せぬ不調の数々。それは、新しい自分と向き合う、長い旅路の静かな始まりでした。

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