あの日々を振り返ると、まるで心の平穏が、少しずつ、でも確実に失われていくようでした。
2022年の7月。
当時お付き合いしていた彼(今の夫)との関係に、なぜか波風が立つようになりました。
些細なことが気になり、全てが私を攻撃しているかのように感じてしまうのです。
本当は争いたくないのに、素直になれない自分がそこにいました。
大切な彼を困らせてしまうような、支離滅裂な言葉ばかりが口をついて出てしまう。
まるで、自分ではないような感覚でした。
心だけではなく、体も悲鳴を上げていました。
車で片道50分の通勤が難しい。
途中でフラフラと危険を感じて、車を停めてしまうこともありました。
仕事に行けない。
家にも帰れない。
そんな毎日が、私をパニックの渦に突き落としていたのです。
夜は眠れず、昼間はだるくて。
鏡を見れば疲れた顔がそこにあるばかりでした。
食欲はなくて食は進まないはずなのに、なぜか体重ばかりが増えていくのです。
「これは、早めにきた更年期なの?」
「それとも、ただ私が怠けているだけ?」
「努力が足りないから、こんなにもつらいの?」
そんな言葉ばかりが頭の中を巡り、自分自身への自信を失っていく日々でした。
ある日の明け方、激しい胃痛で飛び起きました。
のたうち回るような痛みに耐え、朝一番で近所の内科へ駆け込みました。
レントゲンを撮り、先生は胃カメラを提案してくださいました。
その時、先生の目が私の首元に留まったのです。
「甲状腺が少し腫れていますね。念のため、血液検査もしてみましょう。」
この言葉が、私にとっての大きな転機となりました。
予期せぬ不調の数々。それは、新しい自分と向き合う、長い旅路の静かな始まりでした。
