橋本病と私

5.心への葛藤と決意の服用(心の治療)

第四話でチラージンSの服用が始まったその時、主治医からはもう一つ。

心の状態を整えるためのお薬が処方されたのです。

それが「レクサプロ」。

これは、主に抑うつ状態を和らげる目的で使われる、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と呼ばれるもの。

脳内のセロトニンという物質の働きを調整し、気分を安定させる効果があるとのことでした。


このレクサプロを飲むことは、チラージン以上に、私にとって大きな葛藤でした。

薬によって、自分自身が自分じゃなくなるような感覚。

心に直接作用する薬への、漠然とした恐怖です。

自分の心の状態まで薬に委ねることに、強い抵抗があったのかもしれません。


しかし、このままでは、私を支えてくれている家族や仲間たちに、心配や迷惑をかけてしまう。

自分のわがままで薬に頼らず、あるがままでいることが、大切なみんなに影響を及ぼす。

一人ではないが故の選択が、そこにはありました。

私と、そして大切なみんなが、穏やかに安心して過ごせるように。そのための、お薬の力。

この決心には、本当に大きな力を要しました。

そして、服用を開始したのです。


心の葛藤を乗り越え、レクサプロの服用を決意。

体だけでなく、心の治療も始まる、穏やかな日々を取り戻すための大きな決断でした。

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